心にナイフをしのばせてこの表紙を見たとき、正直背筋がゾッとしました。
それだけこの事件がいかに残忍であったのか想像が付きます。
1997年に起きた神戸児童殺傷事件から28年前の1969年4月23日、カトリック系のサレジオ高校に通う当時高校1年生だった加賀美洋君が何者かによってメッタ刺しにされたうえに首を切断される事件がありました。昭和の酒鬼薔薇事件です。
当時私は4歳になる直前で、こんな残忍な事件があったことを全く知りませんでした。
ドラマではフィクションとして放送されていましたが、ノンフィクションです。
加賀美君と一緒に居た同級生の少年Aも被害に遭い、幸い命に別状が無かったものの、肩をざっくりと切られ肉が見えるほどだった。
少年Aの供述によると、頭の逝かれた男が日本刀を持って暴れている。
しかし加賀美君を殺害したのは、日本刀を持った男ではなく何を隠そう、この少年Aなのです。
手塩にかけた息子が同級生の手によって残忍な殺され方をし、母親のくに子さんは1年間もの間寝込み、また自殺未遂まで起こしたあげく、別の人格者が現れる事態にまで発展。
一方洋君の妹みゆきさんは、あの事件からなるべく避けたい一身で勤めて明るく振舞い、それが親戚や教師から顰蹙を買うようになります。
そして、両親の執拗な監視に耐え切れず反抗的にな態度を取るようになり、20歳を過ぎた頃には家のドアを壊すほどまでなってしまったそうです。
洋君が殺害されてから家族の絆はバラバラになり、声を出して笑う事も失った。
そんな家族に明るい灯が差したのは、みゆきさんが結婚をして子供を生んでからの事だそうです。
それまで笑顔を見せる事の無かった父親の毅さんが、孫の顔を見にみゆきんさんの自宅を訪れ、孫を入浴させるのが楽しみとなり、やっと幸せをつかみ始めたときに毅さんは末期のがんで帰らぬ人に。
加賀美君の同級生や遺体を発見した教師たちも何かしら心の傷を負っているのです。
ところが一方の加害者である少年Aは現在地方弁護士として事務所を構え、巷では有名な弁護士になっており、幸せな家庭を築き上げているのです。
この本に対して加害者の事は一部しか触れておらず、話が遺族だけの偏りがちなことに対して批評的なコメントもありましたが、私は何を馬鹿な事を言ってるのかと言いたい。
同じ失うのでも、病気で亡くなった場合覚悟や諦めも付くはずです。
しかしつい先ほどまで元気だった愛する家族が何者かによって殺害されたとき、貴方はどんな気持ちでその現実を受け止める事が出来ますか?
私ならきっと、半狂乱になり犯人を何度でも殺してしまうだろうと思うのです。
殺され方が残忍であればあるほど・・・。
この本の最後に著者の奥野修二さんが「彼が遺族に心から申し訳ないと詫びたとき、そして遺族がそれを許したとき初めて更正したと言うのではないか」と記されています。
しかし少年Aは心から詫びるどころか、何故自分が詫びなければならないのだと開き直った態度。
しかも賠償金700万円の一部しか支払ってないのに、くに子さんが経営する店が危ないと聞くと、50万円を『貸す』から実印と印鑑証明を用意しろという横柄な態度。
これで少年Aが今までどんな生き方をしてきたか大よその察しは付くし、更正しているとは考えにくいです
過去にテレビのインタビューに答える少年Aの発言をブログで紹介されていた記事を見つけました。
「謝罪も賠償金の支払いも一切してないし、するつもりもない
未成年でしたから前科なんて付きませんよ。
私が弁護士をしてるのは私の能力だし、 その収入は私と家族のために使います。
法的にみて全く何の問題もありません。 幸せに暮らしてます。
少年事件は匿名性が極めて高いので誰も知りませんしね」
彼が犯した罪は自身が忘れても、彼や被害者を取り巻く友人・知人・家族・親戚は忘れたくても忘れる事が出来ない。
長い間この事件に苦しみ続けている現実を彼は重く受け止めるべきではないでしょうか?